【採用ミスマッチ事例】小林印刷工業(印刷オペレーター)で22%が早期退職!「クリエイティブ重視」の落とし穴と3つの対策

印刷オペレーター採用で22%が離職!期待と現実のギャップを可視化

「求人に『デザインから印刷オペレーションまでを一貫担当』『クリエイティブな業務比率50%』と謳ったのに、実際は自動機オペレーションと検品のルーチンワークばかり…」
製造業界全体では、入社半年以内の離職率が約22%※1と、技術職採用での定着が課題となっています。
本記事では、小林印刷工業の事例を通じて、応募者と企業の“クリエイティブ期待ギャップ”を可視化し、同じ失敗を防ぐ3つの実践策を提示します。


抑えるべき3つの教訓・対策

  1. 業務比率を具体的数値で求人票に記載せよ
  2. デザイン~印刷までの研修ロードマップを提示せよ
  3. 現場稼働ダイジェスト動画で期待値を調整せよ

会社の紹介(架空モデル)

※本記事の「小林印刷工業」は架空の事例です

<div style=”display:flex; gap:1em; flex-wrap:wrap;”> <div>📍 <strong>所在地</strong>:豊島区巣鴨</div> <div>👥 <strong>従業員数</strong>:30名</div> <div>📖 <strong>設立</strong>:2000年7月</div> <div>📰 <strong>月間印刷部数</strong>:50万部</div> </div> **業務概要**:各種パンフレット・チラシ・DMの印刷から製本、凹版印刷など特殊印刷まで一貫対応。デザイン校正部門と連携し、小ロット多品種にも対応。


求人票全文

【募集職種】印刷オペレーター  
【業務内容】
- Adobe InDesignでのデータ調整・校正
- 印刷機オペレーション(オフセット・オンデマンド)
- 製本・検品・梱包作業
- 新規デザイン提案サポート(月1~2件)
【応募条件】
- 印刷実務経験2年以上/DTP経験者歓迎
- 手先が器用で細部にこだわれる方
- 新しい技術への興味がある方
【勤務時間】
- 8:30~17:30(実働8h)
- 月平均残業20h程度
【給与】
- 月給24万~29万円+残業手当+交通費全額
- 賞与年2回(4ヶ月分実績)
【応募方法】
- 履歴書・職務経歴書・作品データをメール
- 書類選考後、工場見学+面接

採用担当・長谷川さん:「『クリエイティブ業務』を前面に出したのは、求職者のモチベーションを高めたかったからです。しかし日常業務の8割がオペレーションと検品であることを明記できず、期待値をずらしてしまいました。」


企業側が期待した人材像と実際の評価

期待した人材像

  • ① DTPデータ調整から印刷オペレーションまで自走
  • ② デザイン改善提案を月に数件提示
  • ③ 機械メンテナンスやトラブル対応も担当

実際に来た人のスペック

採用者・Fさん(31歳/前職:広告代理店印刷部)

  • InDesign歴4年、印刷機オペレーション経験1年
  • 機械保守知識は浅い

入社当日のミニエピソード

午前はデータフォーマット不備の修正、午後はオンデマンド印刷機の紙詰まり対応を延々3時間。提案案件は月末の1回のみ。

入社から退社までの働きぶり

  • 1週目:オペレーション70%・検品20%・提案10%
  • 1ヶ月目:提案支援は2件あるも、実務優先で実施せず
  • 3ヶ月目:機械トラブル対応で残業25h超、疲労困憊
  • 6ヶ月目:提案機会の少なさから意欲低下、早期退職

企業側から見た評価

  • 技術対応力:60点(機械対応は習得)
  • クリエイティブ貢献:15点(提案実績少)
  • 定着意欲:40点(期待との乖離に苦慮)

離職理由:応募者 F さんのリアルボイス

Fさんの声
「『提案サポート』とあったが、現場は機械トラブル対応と検品が中心。自分のスキルを活かす余地がなく、自信を失いました。」

想像と違った3ポイント

1. クリエイティブ比率の乖離

求人票では提案業務30%と伝えられたが、実際は10%程度。

2. 機械トラブル頻度

月10件以上の小トラブル対応が不可避だが未提示。

3. 残業実態

「月20h程度」と記載したが、トラブル月は30h超に達した。


企業側が事前に応募者に伝えるべきだった情報

  • 業務比率の具体数値(オペレーション70%/検品20%/提案10%)
  • 機械トラブル対応件数目安(月5~15件)
  • 残業実績の幅(月20~30h)
  • 提案サポートの実施フロー(月初ミーティング+レビュー)

理想の応募者を呼び込むための情報開示策

対策①:業務割合チャート

  • 方法:円グラフで実態の業務比率を求人ページに掲載
  • 効果:視覚的に業務バランスを理解、期待ずれを防止

対策②:トラブル対応ダイジェスト動画

  • 方法:2分間動画で「紙詰まりから復旧まで」の流れを紹介
  • 効果:機械トラブルの頻度と難易度を応募前に共有

対策③:研修ロードマップPDF

  • 方法:入社~3ヶ月のOJTプログラムと提案実施フローをPDFで配布
  • 効果:研修体制を具体的に見せ、安心感を醸成

これらの情報開示策を求人票+αで実践すれば、クリエイティブ期待ギャップを大幅に縮小し、早期離職抑制採用効率向上を同時に実現できます。自社の印刷オペレーター採用にもぜひお役立てください。


※1 日本印刷技術協会「製造職新規採用離職率」2023年調査より