【採用ミスマッチ事例】田中物流センター(フォークリフトオペレーター)で離職を招く“稼働イメージギャップ”と3つの対策

フォークリフトオペレーター採用で28%が離職!ミスマッチの実態を可視化

「求人に『即戦力のフォークリフトオペレーター募集』と打ち出したのに、入社後は倉庫内の同じ作業ばかりでジレンマを感じた…」
物流業界では、新規採用者の1年以内離職率が約28%※1と高止まりしています。
本記事では、応募者との“稼働イメージギャップ”が招いたコストを可視化し、同じミスマッチを防ぐ3つの実践策を解説します。


提示する3つの教訓・対策

  1. 業務比率を求人票で明示せよ
  2. 研修カリキュラムを具体的に提示せよ
  3. 現場稼働のリアル動画で期待を調整せよ

会社の紹介(架空モデル)

※本記事の「田中物流センター」は架空の事例です

📍 所在地:大田区平和島

👥 従業員数:45名

📖 設立:2012年9月

💰 平均年収:380万円

業務概要:都内を中心に食品・日用品の輸配送を手がける物流センター。倉庫内作業からトラックへの積み込みまでを自社で完結し、24時間体制で稼働。

求人票全文

【募集職種】フォークリフトオペレーター  
【業務内容】
- フォークリフトを使用した商品荷卸し・棚入れ
- ピッキング作業、梱包・検品
- 倉庫内整理・清掃
- 夜間シフト(22:00~翌6:00)あり
【応募条件】
- フォークリフト免許必須
- 倉庫内物流経験者優遇
- チームワークを大切にできる方
【勤務時間】
- 日勤/9:00~18:00
- 夜勤/22:00~翌6:00(交替制)
【給与】
- 月給25万~30万円+深夜手当+交通費全額
- 年2回賞与あり
【応募方法】
- 履歴書・職務経歴書をメール添付
- 書類選考後、一次面接(Web)

採用担当・鈴木さん:「『即戦力』と謳ったのは夜間シフト対応を期待してのこと。しかし作業比率やシフト回数の記載が不足し、応募者に過度な期待を抱かせてしまいました。」


企業側が期待した人材像と実際の定着状況

期待した人材像

  • ① 夜間シフトを厭わず稼働できる
  • ② 自発的に倉庫レイアウト改善提案ができる
  • ③ チームリーダーとして後輩をフォローできる

実際に来た人のスペック

採用者・Bさん(32歳/前職:飲料メーカー倉庫係)

  • フォークリフト免許歴3年、夜勤経験2年
  • 改善提案は未経験

入社当日のミニエピソード

初日夜勤――倉庫の暗い環境と機械音に戸惑い、指示ミスでパレット落下。

入社から退社までの働き具合

  • 1週目:夜勤3回、日勤2回で疲労困憊
  • 1ヶ月目:提案業務は皆無、梱包・検品90%
  • 3ヶ月目:夜勤の身体負担から遅刻・欠勤増加
  • 6ヶ月目:自己改善の意欲低下、定着は30%

企業側から見た評価

  • 稼働安定度:50点(夜勤対応が不安定)
  • 提案力:10点(改善提案無し)
  • チーム貢献度:30点(フォロー不足)

離職理由:応募者のリアルボイス

Bさんの声
「夜勤が月15回超と聞いていなかった。睡眠サイクルが崩れ、提案どころではありませんでした。」

想像と違った3ポイント

1. 夜間シフト頻度

求人票に「夜勤あり」とだけ記載し、実際は月15~20回と多岐に及んだ。

2. 作業比率の偏り

フォークリフト作業90%、改善業務5%以下。創意工夫の余地は極めて限られていた。

3. 夜勤サポート不足

夜間OJTはほぼ自己判断。先輩も日勤帯に集中し、孤立感が強かった。


企業側が事前に応募者に伝えるべきだった情報

  • 夜勤シフト回数目安(月15~20回)
    重要性:生活リズムのイメージ共有
  • 業務比率の具体数値(作業90%/改善5%/その他5%)
    重要性:期待値調整
  • 夜勤OJT体制(時間・担当者)
    重要性:安心感アップ
  • 深夜手当の詳細(割増率・支給条件)
    重要性:報酬期待と実務負荷のバランス

理想の応募者を呼び込むための情報開示策

対策①:夜勤シフトカレンダー公開

  • 方法:求人サイトで「1ヶ月の夜勤スケジュール例」をカレンダー形式で公開
  • 効果:応募前にシフト回数と生活リズムを把握でき、ミスマッチを削減

対策②:業務割合グラフの掲載

  • 方法:円グラフで「フォークリフト80%/梱包15%/改善5%」を明示
  • 効果:作業内容のバランスを視覚化し、期待ずれを抑制

対策③:夜勤稼働ダイジェスト動画

  • 方法:30秒の社内動画で「夜間シフトの一日」を紹介
  • 効果:現場の雰囲気と注意点をリアルに伝え、応募者の不安を軽減

上記の施策を求人票+αで実践すれば、稼働イメージギャップを大幅に縮小し、早期離職抑制採用効率向上が見込めます。自社の物流採用改善にぜひお役立てください。


※1 厚生労働省「中小企業における離職状況」2023年データより