造園スタッフ採用で27%が早期離職!働きイメージギャップを可視化
「求人に『自社デザインの庭園設計・施工をお任せ』と打ち出したのに、実際は芝刈りと草むしりの繰り返しで技術を活かせない…」
造園業界では、新規採用者の半年以内離職率が約27%※1と高く、採用コストや後任手配の負担が深刻です。
本記事では、渡辺ランドスケープの事例を通じて、応募者と企業の“働きイメージギャップ”を可視化し、同じ失敗を防ぐ3つの実践策を解説します。
抑えるべき3つの教訓・対策
- 業務比率を数値化して求人票に明示せよ
- 設計~施工までの研修ロードマップを公開せよ
- 現場作業の実際を動画で事前体験させよ
会社の紹介(架空モデル)
※本記事の「渡辺ランドスケープ」は架空の事例です
📍 所在地:世田谷区桜丘
👥 従業員数:26名
📖 設立:2011年2月
🌳 年間施工件数:150件
**業務概要**:住宅・商業施設の庭園設計から植栽・剪定・維持管理までを一貫提供。ガーデンイベントやワークショップも主催し、地域密着型のサービスを展開。
求人票全文
【募集職種】造園スタッフ
【業務内容】
- 庭園の設計図作成(CAD使用可)
- 植栽・剪定、芝刈り、雑草除去
- 石積み・ウッドデッキ設置など造園施工
- 顧客との打ち合わせ、見積作成補助
【応募条件】
- 造園・園芸経験1年以上/資格保有者優遇
- 手先が器用で体力に自信のある方
- コミュニケーション力が高い方
【勤務時間】
- 8:00~17:00(現場により前後)
- シーズン中は土日勤務あり
【給与】
- 月給24万~30万円+交通費全額
- 賞与年2回
- 資格手当あり
【応募方法】
- 履歴書・職務経歴書・施工写真をメール
- 書類選考後、現場見学+面接
採用担当・山形さん:「『設計~施工』を全面に押し出しましたが、草むしりや芝刈りが全体の7割を占める実態を示せず、応募者に誤解を与えてしまいました。」
企業側が期待した人材像と実際の働きぶり
期待した人材像
- ① CADでの設計図を自立作成
- ② 多様な造園施工スキルを駆使
- ③ 顧客と直接対話し提案をリード
実際に来た人のスペック
採用者・Gさん(28歳/前職:造園アルバイト)
- CAD基本操作可、剪定経験2年
- 顧客折衝は未経験
入社当日のミニエピソード
初日は一日中雑草抜きと芝刈り。午後に施工図確認数分あったのみ。設計業務の時間はゼロだった。
入社から退社までの働きぶり
- 1週目:草刈・剪定80%・設計10%・接客10%
- 1ヶ月目:見積作成補助は週1回、裁量作業は限定的
- 3ヶ月目:体力消耗で遅刻増加、モチベーション低下
- 6ヶ月目:設計業務は月1件以下、退職意向顕在化
企業側から見た評価
- 技術力:65点(剪定は迅速だが、設計対応は低)
- 提案力:20点(顧客対話以外の提案機会少)
- 定着意欲:35点(期待と実務に差あり)
離職理由:応募者 G さんのリアルボイス
Gさんの声
「『設計もできる』と思ったら、ほぼ草むしり作業。クリエイティブ要素は月1回の庭師イベント準備だけで、想像と全く違いました。」
想像と違った3ポイント
1. 草刈・剪定比率の偏り
実務は雑草除去・芝刈り70%、設計・提案10%、その他20%。
2. 顧客折衝機会の少なさ
見積作成補助はあるが、直接ヒアリング・提案は月1件程度。
3. シーズン繁忙期の稼働量
春・秋は週休なしで稼働、休日明けの疲弊が深刻だった。
企業側が事前に応募者に伝えるべきだった情報
- 業務比率の具体数値(草刈70%/剪定15%/設計10%/その他5%)
- 顧客折衝の頻度(週1~2回程度)
- 繁忙期シフト体制(春秋の週6日稼働)
- 研修プログラム概要(CAD研修・OJTタイミング)
理想の応募者を呼び込むための情報開示策
対策①:業務割合チャートを公開
- 方法:求人ページで円グラフにより「草刈70%/設計10%…」を視覚化
- 効果:応募前に業務バランスを直感的に理解、期待ずれを防止
対策②:現場作業ダイジェスト動画
- 方法:1分間動画で「植栽から剪定、設計打ち合わせまで」を撮影
- 効果:作業イメージを具体化し、現実と求人の乖離を抑制
対策③:現場見学&体験ワークショップ
- 方法:応募前に半日体験を実施し、草刈や簡易設計を体感してもらう
- 効果:入社後のミスマッチを大幅に削減し、定着率向上に寄与
これらの対策を求人票+αで実践すれば、働きイメージギャップを大幅に縮小し、早期離職抑制と採用効率向上が見込めます。自社の造園スタッフ採用改善にぜひご活用ください。
※1 全国造園業協会「造園スタッフの離職状況」2023年データより